慰謝料とは、離婚によって精神的苦痛を被った者に対する金銭的賠償のことです。 慰謝料請求が認められるのは、相手方に不倫や暴力行為などの有責行為によって、やむを得ず離婚に至ったという場合です。
慰謝料が発生する有責行為としては、以下のようなものがあります。
ですから、単なる性格の不一致で離婚する場合には、慰謝料請求権は発生しません。 また例えば、夫婦関係が既に破綻してしまった後で相手が異性と関係を持ったとしても、離婚との因果関係がないので、そのような関係をもったことに対する慰謝料請求権は発生しません。
離婚の慰謝料に、明確な基準というのはなく、日本の裁判で認められる金額で実際に多いのは、2~300万円程度です。500万円を超えるような金額の慰謝料が認められることは、滅多にないというのが日本の裁判の実情です。
慰謝料を算定する際に考慮される事情としては、有責行為の態様や度合い、婚姻期間の長短、請求する側の事情や精神的苦痛の程度などがあり、これら一切の事情をもとに、慰謝料の金額が決定されます。
相手方が、不貞や暴力行為を否認してくるような場合には、証拠によって、これらの行為があったということを立証しなければ、慰謝料請求権は認められません。
有力な証拠になるのは、不貞行為の場合、不貞行為を伺わせる不貞相手とのメールや写真、不貞行為を認めた録音テープや書面などです。興信所に素行調査を依頼するのも有効ですが、多額の費用がかかることがあります。
暴力行為の場合は、診断書や、暴行の傷跡を写した写真などが有力な証拠になります。
当事者間の話し合いでは、不貞を認めていた相手方が、調停や訴訟になった途端、一転して否認することも決して珍しいことではありません。同居期間中から証拠を集めておくことが肝心です。